2026年11月の電気代値上げ、法人にはどう効く?高圧・特別高圧と自家消費の損益分岐【2026年最新】
2026年11月1日の託送料金改定は、家庭だけでなく高圧・特別高圧の法人契約にも反映されます。値上げが基本料金に偏っている点、契約期間による適用時期の違い、ピークカットと自家消費型太陽光の価値がどう変わるかを事業者向けに整理しました。
2026年11月1日の託送料金改定は、家庭向けだけの話ではありません。高圧・特別高圧の法人契約にも反映されます。
結論から言うと、今回の値上げは電力量料金(使った分)より基本料金(契約電力)に偏っているのが特徴です。北海道電力の法人向けでは、電力量料金の上げ幅が1kWhあたり0.07円にとどまる一方、基本料金は1kWあたり約123〜277円上がる例が示されています。
これが意味するのは明確です。節電では防げない値上げであり、効くのは**ピークカット(契約電力そのものを下げる)**だということです。
- 託送料金改定は高圧・特別高圧にも反映。発電側課金の変動も併せて織り込まれる
- 値上げは基本料金に偏っている——北海道電力の法人向けで基本料金+123〜277円/kW、電力量料金は+0.07円/kWh
- 多くの会社で現在の契約期間が満了した後の新契約から適用。自社の契約満了日の確認が最優先
- 基本料金中心の値上げでは、節電より「ピークを下げること」が効く
何が変わったのか
2026年11月1日から、一般送配電事業者の託送料金(送配電網の利用料)が見直され、各社がこれを電気料金に反映しています。高圧・特別高圧では、託送料金に加えて発電側課金の変動も織り込まれています。
各社の対応を整理すると次のとおりです。
| 電力会社 | 対応 |
|---|---|
| 東京電力EP | 2026年11月1日から託送料金の見直しを電気料金に反映。供給条件も一部見直し |
| 関西電力 | 高圧・特別高圧の標準メニューを見直し、基本料金・電力量料金等を改定。託送料金+発電側課金の変動を反映 |
| 北海道電力 | 託送料金見直しに伴い改定。基本料金の上げ幅が大きい |
| 中部電力ミライズ | 特別高圧の基本料金単価を改定(例:第1種70kVプランA 1,637.43円→1,665.08円) |
| 新電力各社 | 託送料金の上昇分を反映するため、約款変更を予定・実施 |
※各社のモデル条件・適用範囲は異なります。正確な内容は契約先の公表資料でご確認ください。
託送料金はどの小売電気事業者と契約していても発生します。新電力各社も約款を変更して反映しているため、「切り替えれば値上げを回避できる」わけではありません。比較する価値はありますが、回避策にはなりません。
最優先の確認事項:自社の「適用日」
ここが実務上もっとも重要です。11月1日から全社一律で上がるわけではありません。
関西電力は、改定後の単価について「原則として、現在の契約使用期間が満了した後の新たな契約から適用」としています。つまり、契約の更新タイミングによって、値上げが効き始める時期が企業ごとに変わります。
- 契約書で「契約使用期間」の満了日を確認する
- その満了日以降の予算に、改定後単価を織り込む
- 複数拠点がある場合は、拠点ごとに満了日が違う前提で洗い出す
「11月から上がる」と思って予算を組むと、実際にはもっと後から効き始める——あるいは逆に、更新が近い拠点だけ先に効く——というズレが起きます。拠点別の一覧を作るのが確実です。
値上げが「基本料金」に偏っている意味
今回の改定の最大の特徴がここです。
| 区分 | 北海道電力(法人・高圧/特別高圧)の例 |
|---|---|
| 電力量料金 | +0.07円/kWh |
| 基本料金 | +123〜277円/kW |
※個人がまとめた記事による数値であり、確信度は中です。正確な単価は各社の公表資料でご確認ください。
家庭向けでも同じ傾向が見られます。東京電力EPの規制料金は月254円の値上げのうち、240.93円が基本料金の増加でした。
なぜこれが重要なのか
高圧・特別高圧の基本料金は、**契約電力(デマンド)**で決まります。多くの事業所で採用されている実量制では、**過去1年間の最大需要電力(30分単位の最大値)**が契約電力になります。
つまり——
- 年に1回、30分だけ発生したピークが、その後1年間の基本料金を決める
- 基本料金は電気を使わない月にもかかる
- したがって、総使用量を減らす節電では、基本料金は下がらない
今回のように基本料金中心で単価が上がると、ピークを1kW下げる価値が従来より大きくなります。
仮に基本料金が+200円/kW・月上がったとすると、契約電力500kWの事業所では 200円 × 500kW × 12か月 = 年間120万円 の増加です。逆に言えば、ピークを50kW下げられれば、改定後単価でも年間の増加分を相当程度打ち消せる計算になります(単価は各社・契約で異なるため、自社の単価で試算してください)。
ピークを下げる手段と、その向き不向き
| 手段 | 内容 | 向く条件 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| デマンド監視・制御 | 閾値に近づいたら警報・自動制御 | すぐ着手したい/投資を抑えたい | 運用でカバーするため、現場の協力が必要 |
| 自家消費型太陽光 | 昼のピーク時間帯に発電分を充当 | 昼間にピークが立つ事業所(工場・倉庫・商業施設) | 天候に左右される。曇天時のピークは下がらない |
| 蓄電池(ピークシフト) | 安い時間に充電し、ピーク時に放電 | ピークが短時間に集中している | 初期費用が大きい。制御設計が要 |
| 設備の運転計画見直し | 大型機器の起動時間をずらす | 同時起動でピークが立っている | 生産計画との調整が必要 |
自家消費型太陽光の経済性は「改善」している
電気代が上がると、自家消費1kWhあたりの価値(=買わずに済んだ電気の単価)が上がります。さらに今回は基本料金も上がるため、昼のピークに発電が重なる事業所では二重に効きます。
一方で、売電単価は下がり続けています。2026年度の事業用FIT価格は地上設置10kW以上50kW未満で10円/kWh、50kW以上は入札(上限9.6円)です。そして地上設置は2027年度以降、FIT/FIPの新規支援の対象外とする方針が示されています(参考:2027年度から野立て太陽光はFIT対象外へ)。
| 売電(FIT) | 自家消費 | |
|---|---|---|
| 単価の目安 | 10円/kWh前後(2026年度・地上設置) | 買電単価を削減(電気代の上昇とともに価値が上がる) |
| 今後の方向 | 地上設置は2027年度から支援対象外の方針 | 電気代上昇で価値が上がる |
| 基本料金への効果 | なし | ピークに重なれば削減効果あり |
構造として、「売る」より「使う」が有利な方向に制度・市場の両方が動いています。自家消費型の導入検討は産業用太陽光の自家消費で整理しています。
太陽光の発電ピークは正午前後です。自社のデマンドのピークが夕方や早朝に立っている場合、太陽光だけではピークカットにつながりません。導入検討の前に、デマンドデータ(30分値)で自社のピーク時間帯を確認してください。ここを確認せずに導入して「基本料金が下がらない」となるのが典型的な失敗です。
検討する順番
費用対効果の順に並べると、次のようになります。
- 契約満了日と改定後単価を確認する——いつから、いくら上がるのかが分からないと何も判断できません
- デマンドデータ(30分値)を取得し、ピークの時間帯・季節・要因を特定する——費用ゼロでできる最重要ステップ
- 契約電力の見直し余地を確認する——過去のピークが特異値なら、運用改善だけで下げられることがあります
- デマンド監視・運転計画の見直し——低コストで効果が出る領域
- 自家消費型太陽光を検討する——ピークが昼間に立っている場合に有効
- 蓄電池によるピークシフトを検討する——ピークが短時間集中型の場合
②を飛ばして設備投資に進むケースが多く見られます。自社のピークがいつ立っているかを知らずに設備を入れると、投資に見合った基本料金の削減ができません。
自家消費型太陽光は、屋根の条件・デマンドカーブ・系統連系の可否で設計が変わり、業者によって提案が大きく異なります。条件に合う提案を見つけるには、複数社から同時期に提案を取って比較するのが確実です。産業用太陽光の無料一括見積もりで比較する(タイナビNEXT)
よくある質問(FAQ)
Q. 法人契約も11月1日から一律で値上げですか?
A. いいえ。関西電力などは「現在の契約使用期間が満了した後の新たな契約から適用」としています。自社の契約満了日を確認してください。
Q. 値上げ幅はどれくらいですか?
A. 会社・契約メニューで差が大きく、一律には言えません。北海道電力の法人向けでは基本料金+123〜277円/kW、電力量料金+0.07円/kWhという例があります。関西電力については約9.4〜16.1%の上昇という試算を示す解説もあります(確信度:中)。
Q. 新電力に切り替えれば回避できますか?
A. 託送料金はどの小売事業者でも発生するため、回避はできません。新電力各社も約款を変更しています。
Q. 節電で基本料金は下がりますか?
A. 下がりません。基本料金は**契約電力(最大需要電力)**で決まります。総使用量を減らすのではなく、ピークを下げる必要があります。
Q. 実量制の契約電力はどう決まりますか?
A. 一般に、**過去1年間の最大需要電力(30分単位)**で決まります。年に一度の突出したピークが、その後1年間の基本料金を決めてしまいます。
Q. 自家消費型太陽光を入れれば基本料金は下がりますか?
A. 自社のピークが昼間に立っている場合に限り効果があります。夕方や夜にピークがある事業所では、太陽光だけでは下がりません。デマンドデータで事前確認してください。
Q. 発電側課金とは何ですか?
A. 発電設備側にも送配電網の利用料の一部を負担させる仕組みです。今回の高圧・特別高圧の改定では、託送料金とあわせてこの変動も反映されています。
Q. 設備投資をするなら、いつ動くべきですか?
A. 自家消費型は補助金のスケジュールが実質的な期限になります。また地上設置型は2027年度のFIT制度変更が絡むため、認定・契約のスケジュールから逆算して動く必要があります。
まとめ
2026年11月1日の託送料金改定は、高圧・特別高圧の法人契約にも反映され、発電側課金の変動も併せて織り込まれています。特徴は、値上げが基本料金に偏っていることです。北海道電力の法人向けでは電力量料金が+0.07円/kWhにとどまる一方、基本料金は+123〜277円/kWという例が示されています。
実務上、まずやるべきは2つです。①自社の契約満了日を確認して適用時期を把握する、②デマンドデータ(30分値)で自社のピーク時間帯を特定する。この2つは費用がかからず、その後のすべての判断の前提になります。
そのうえで、基本料金中心の値上げにはピークカットが効きます。自家消費型太陽光は電気代上昇で経済性が改善していますが、ピークが昼間に立っている事業所でなければ基本料金は下がりません。設備投資の前に、必ず自社のデマンドカーブを確認してください。
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